Chapter 2. XooNIpsの概要

1. CMS

CMSとはContent Management Systemの略称で様々なデジタルコンテンツを登録・管理・更新・配信する仕組みを持ったソフトウェアです。

CMSはWebサイトの構造をロジック部分、コンテンツ部分、デザイン部分の三層構造に分割しています。

WebページをHTMLのみで作成・更新する従来の一層構造ではHTMLファイルの作成者はサイトに関する以下のような様々な知識が必要です。

  • Webサイトに掲載したい内容(コンテンツ)の専門的な知識

  • HTMLコード作成に関する知識

  • Webサイトのデザイン

HTMLのみでWebサイトを作成し、これら作業を分業した場合でもちょっとした修正や更新にもデザイナーやHTMLコーダーが関与しなければならず、効率や管理の面で非効率です。

CMSはコンテンツとデザイン部分のデータを別々にデータベースに登録・保存し、独立したロジック部分がコンテンツとデザインのデータから自動的にWebページを生成します。

CMSではコンテンツ作成者はロジックを意識する必要が無く、またデザイナーもWebページのデザインに集中できるのでサイト全体の品質を高め、管理や作業の効率も向上させることが出来ます。

2. XOOPS

XOOPSはWebサイト上にCMSを手軽に実装できるソフトウェアです。

XOOPSはオープンソースライセンスのソフトウェアとして開発されており誰でも無料で利用できます。

またXOOPSの基盤となるソフトウェアもフリーソフトを利用できるため、XOOPSを利用する際、ソフトウェアに関してお金は一切かかりません。

XOOPSのインストールにはPHP/MySQLを使えるサーバ環境が整っていれば簡単です。

XOOPSはeXtensible Object Oriented Portal Systemの略称で拡張可能なオブジェクト指向ポータルシステムと訳されます。

  • 高い拡張性:モジュールと呼ばれるソフトウェア単位を追加することでXooNIpsの他、掲示板システムやカレンダー等様々な機能を追加することが出来ます。

  • オブジェクト指向:XOOPSは基盤としているPHPのオブジェクト指向部分を多用しています。

  • ポータルシステム:CMSと同義語です。

3. XooNIps

XooNIpsは脳・神経系に関する実験データ、数理モデル、シミュレーションプログラム、計測データなどの多様な研究資源を蓄積・整理・共有し、広く公開することで脳機能の理解・解明を一層進める事が必要であるとの観点から開発さています。XOOPSのモジュールとして追加することで利用が可能です。

  • インデックスツリーにデータを関連付けて保存することでユーザに判りやすい形で研究資源を公開・共有できます。

  • データベースに登録するデータの種類はアイテムタイプモジュールで簡単に増やすことができます。

  • OAI-PMHプロトコルに対応した他のデータベースの情報はXooNIps上で検索することが出来ます。

  • 登録データの公開レベルを登録者個人のみ、グループ内のみ、一般公開の3種類に別けて設定することが出来ます。

  • 登録データの品質管理を行う仕組みとして、登録データを一般公開またはグループ内公開にする際にはサイト管理者、グループ管理者による査読が必要なシステムを採用しています。

4. システム概要

データベースを円滑に運用するため、利用できる機能をユーザー権限によって分けられており、使い分けることによって『アイテムの公開』や『グループ内におけるアイテム共有』などの一連のワークフローを実現しています。

システム概要図

Figure 2.1. システム概要図


5. XooNIpsの基本画面

インストール直後の基本デザインは下記の様なイメージになります。

デザインはサイトによって異なる場合があります。

XooNIpsの基本画面

Figure 2.2. XooNIpsの基本画面


6. 用語解説

インデックスツリー

登録データを管理分類するために用意されている表示方法です。

アイテム

登録されるデータの事です。

アイテムタイプ

登録されるデータの種類です。Data, Model, Tool等データの種類に合わせて複数の種類があります。

グループ

登録ユーザーの集まりです。

インポート

公開されているXooNIpsから、新しいXooNIpsへ移行する際のデータ移動手段です。

エクスポート

XooNIpsの公開されているデータを、新しいXooNIpsへ移行させる為にデータを変換する機能です。

メタデータ

検索システムの対象となるデータを要約したデータのことです。XooNIpsではメタデータを簡単に作成し、データ登録の際に利用することができます。

OAI-PMH

メタデータを機械的に収集するプロトコルです。OAI-PMHではデータを一括して取得することを、農作物の収穫になぞらえ、「刈り取る」(ハーベスティング)と表現します。

OAI-PMHは、OAI-PMHによるデータ提供をサポートするサーバーから一括してメタデータを刈り取るために用いられます。刈り取る側のクライアントソフトウェアをハーベスタ、刈り取られる側のサーバーをリポジトリと呼びます。

XooNIpsは両方の機能を備えています。

ゲスト(Guest/Anonymous Users)

XooNIpsにログインしていない状態のユーザーです。XooNIpsではAnonymous Usersグループに所属します。

  • 公開領域に登録されたデータを検索・閲覧することが出来ます。

登録ユーザー(Registered Users)

XooNIpsはユーザー登録後、モデレーターの承認作業を経てから機能を利用できる状態になります。

モデレーターに承認されてXooNIpsを利用出来る人です。XOOPSのRegistered Usersグループに所属します。

  • 専用の個人領域を与えられて、そこに自由にデータを登録することが出来ます。

  • 個人領域のインデックスツリーは自由に編集することが出来ます。

  • グループに所属するとグループ領域にデータを登録することが出来ます。

  • 公開領域、グループ領域、個人領域に登録されたデータを検索・閲覧することが出来ます。

システム管理者(Webmasters)

XOOPS Cube全体の管理権限を持つユーザーです。XOOPSのWebmastersグループに所属します。

  • Webサイトの運用ポリシーを決定して設定をします。

  • OAI-PMHで記述された外部データベースを選択してメタデータを取得する設定をします。

  • インポート・エクスポート機能を使ってデータベースの移行が行えます。

モデレーター(Moderator)

XooNIpsの設定などを行う管理者です。XOOPSのmoderatorグループに所属します。

  • XooNIpsモジュールの設定を行えます。

  • ユーザのアカウント承認作業が出来ます。

  • 公開領域のインデックスツリーの編集が行えます。

  • 公開領域へデータを登録する際の承認作業が行えます。

  • グループの新規作成・削除を行うことが出来ます。

  • Webサイトのアクセスログを閲覧することが出来ます。

グループ管理者

グループを管理する権限を持つユーザーです。グループの共有領域にデータを登録する際に査読を行うことができます。

  • グループ内のユーザ管理(登録・削除)が出来ます。

  • グループ領域のインデックスツリーの編集が出来ます。

  • グループ領域に登録するデータの承認作業が行えます。

7. XooNIpsの利用例

XooNIpsを利用しているニューロインフォマティクスサイトの例として一部を紹介します。

http://www.neuroinf.jp/

J-Node Portal

INCF日本ノードポータルサイト

国内外のニューロインフォマティクス情報の配信や日本国内のニューロインフォマティクスサイトへのリンクを行っています。

http://platform.visiome.neuroinf.jp/

Visiome

視覚神経科学プラットフォーム

視覚神経科学に関するデータベースです。数理モデル・ツール・データ等を収集して登録することにより、データベースとしての有用性を増進することを目的としています。

J-Node Portalには、他にもXooNIpsを利用しているニューロインフォマティクスサイトとして以下のようなサイトが登録されています。

詳しい説明等はJ-Node Portalに掲載されています。

XooNIpsを利用しているニューロインフォマティクス分野以外の学術情報リポジトリ例

http://koara.lib.keio.ac.jp/

慶応大学

学術情報アーカイブKOARA

http://sucra.saitama-u.ac.jp/

埼玉大学

学術情報発信システムSUCRA

その他にXooNIpsを利用しているニューロインフォマティクス分野以外の学術情報リポジトリとして以下のようなサイトがあります。

http://amcor.asahikawa-med.ac.jp/

旭川医科大学

学術成果リポジトリAMCoR

http://www2.library.pref.nara.jp/nlmc/

奈良県立図書情報館

奈良県地域資料目録

http://repository.nabunken.go.jp/

奈良文化財研究所

学術情報リポジトリ

Last updated: 2008/12/03