第1章 はじめに

1. 挨拶

 ニューロインフォマティクス(NI)は、脳神経科学と情報科学・技術を融合することで、脳の構造と機能の解明に挑戦する新しい研究分野です。2005年11月に国際機構:INCF(International Neuroinformatics Coordinating Facility)が発足し、世界的規模で活発な研究協力が始まっています。理化学研究所脳科学総合研究センターニューロインフォマティクス技術開発チームでは、NIに関わる様々な先端技術開発に取り組んでおり、XooNIpsはその成果の一つです。

  XooNIpsは、NRV(Neuroinformatics Research in Vision)プロジェクトで構築した視覚系NIプラットフォームVisiomeのコンセプトとその基本的な仕様を踏襲し、コンテンツマネージメントシステム(CMS)の一つである XOOPSをベースとして開発されもので、インターネット上で多様なデータの共有を図るNIのためのデータベース基盤システムです。

XooNIpsには三つの特徴が有ります。

 その一つはデータベース構築の柔軟さです。XooNIpsはCMSをベースに開発されているために、データベースのデザインを変更したり、XOOPS上で利用可能な様々なモジュールと組み合わせて、データベースとしての機能の拡張が容易に行えます。すなわち、システムに詳しくない方々でも情報を共有するデータベースを立ち上げる事が可能です。

 二つめは、XooNIpsが扱うデータの多様性、拡張性です。実際に必要とされる様々なデータを扱える様に、多様なデータ形式を標準に備えられている上に更に、新しいデータ形式も扱えるような拡張方法も準備されているので、標準で無い形式のデータであっても容易に取り扱えるように拡張することが出来ます。

 三つめは,メタデータの流通機能です。XooNIpsはメタデータ流通の標準プロトコルの一つであるOAI-PMH(Open Archive Initiative-Protocol for Metadata Harvesting)を実装しています。これにより、XooNIpsで構築された他のデータベースの情報を収集したり、XooNIps以外のOAI-PMHを備えた他のデータベースとメタデータを介して、協調させる事が可能です。

 2007年4月よりXooNIpsの機能拡張等の保守・運用サポートを理化学研究所脳科学総合研究センター神経情報基盤センター(Neuroinformatics Japan Center :NIJC)で担当する事になりました。これを機会にマニュアル類の整備等を進めて行きます。NIJCはINCF日本ノードとして我が国のNI研究を確立・展開すべくXooNIpsを利用した様々な脳神経科学分野のNIデータベースを立ち上げ、運用しております。また、XooNIpsはNI以外にも、研究機関や大学でのデータベースや機関リポジトリ、ラボ内のグループウェアなど、多様な応用が進められております。今後さらにXooNIpsが国内外において広く利用されていくことを期待しています。

理化学研究所 脳科学総合研究センター

神経情報基盤センター センター長 臼井支朗

2. 対応バージョン

本マニュアルはXooNIps Version3.30に対応しています。

3. 本マニュアルの構成

  1. XooNIps紹介編

    XooNIpsの概要を説明しています。

  2. 基盤システムの構築と設定編

    サーバー管理者向けにXooNIpsのインストールと初期設定について説明しています。

  3. システム操作編

    実際にXooNIpsを使う際の作業を説明しています。

Last updated: 2007/07/02