PtSimはトレーディングシステムを実行するためのプログラムです。トレーディングシステムの簡単な成績の計算や、売買履歴を見ることもできます。
過去のチャートの形状や株価や出来高の変化を数値化したさまざまな指標を基に、将来の株価の動向を予想することをテクニカル分析といいます。チャートに支持線やトレンド線を引いて株価の動向を予測したり、RSIなどのテクニカル指標を基に買われすぎや売られすぎを判断したりしている人は多いと思います。では、テクニカル分析の有効性を確認した上で利用している人はどれだけいるでしょう?
トレーディングシステムとは、テクニカル分析に基づく株式の売買ルールを記述したものです。以降トレーディングシステムをシステムと略します。過去の株価データに対してシステムを実行して運用成績を分析することで、その有効性を確認できます。有効性を確認したシステムを今後の株価データに適用して、システム通りに売買することで、よい運用成績を上げることが期待できます。
下の画面はPtSimのスクリーンショットです。
まず左上のツリービューでシステムを選択します。LDS2と表示されているのは、20日間移動平均乖離率を元に買い、20日間ボリンジャーバンドを元に保有株を売るシステムです。
次に売買する銘柄リストを選択します。この銘柄リストに登録されている銘柄に対してシステムが実行されます。その上にある期間モードは、システムの実行を日足と週足のどちらのデータに対して行うかを指定するものです。
これで設定は完了です。右下の実行ボタンを押すとシステムが実行されます。この実行は最初は全期間の株価データに対して行われます。システムによって実行された売買はシステムログとして記録されます。この売買情報は右側のテキストボックスに出力されます。
Protraで株価データを更新してから再びシステムを実行すると、前回の続きが実行されます。システムの実行をやり直す場合にはシステムログを削除する必要があります。システムを選択している状態で[システムログ]→[削除]を選ぶか、Deleteキーを押してください。
システムの検討段階では、システムを全期間に対して実行して、その結果を元にシステムを修正したら、システムログを削除して再実行します。よいシステムができたら、あとは毎日Protraで株価データを更新してPtSimでシステムを実行して、表示される指示を元に実際の売買を行います。
システムログを解析してシステムのパフォーマンスを具体的に知るには成績計算機能を使います。成績を計算したいシステムを選択している状態で計算ボタンをクリックすると計算が開始されます。見ることができるのはサマリーと利益曲線です。サマリーというのは勝率や平均利率などの数値データで、利益曲線というのは現在までの利益の推移をグラフで見ることができます。例としてLDS2の成績計算結果を示しましょう。まずはサマリーです。
ファイル: LDS2.pt 期間モード: 日足 対象銘柄: 東証1部(0〜9999) 2000/01/04〜2003/09/22における成績です。 ---------------------------------------- 全トレード数 580 勝ちトレード数(勝率) 442(76.21%) 負けトレード数(負率) 138(23.79%) 全トレード平均利率 11.23% 勝ちトレード平均利率 22.09% 負けトレード平均損率 -23.57% 勝ちトレード最大利率 94.23% 負けトレード最大損率 -94.51% 全トレード平均期間 41.07日 勝ちトレード平均期間 35.77日 負けトレード平均期間 58.04日 ---------------------------------------- 純利益 \59,724,040 勝ちトレード総利益 \89,468,380 負けトレード総損失 -\29,744,340 全トレード平均利益 \102,973 勝ちトレード平均利益 \202,417 負けトレード平均損失 -\215,539 勝ちトレード最大利益 \931,000 負けトレード最大損失 -\880,000 プロフィットファクター 3.01 最大ドローダウン(簿価) -\3,053,000 最大ドローダウン(時価) -\14,199,180 ---------------------------------------- 現在進行中のトレード数 3
これについては特に説明の必要はないと思いますが、まず純利益が約6000万というのに驚かれたでしょう。LDS2のコードを見てもらえれば分かりますが、非常に簡単なルールでこれだけの利益が上がるのです。私がちょこちょこっと書いたものなので、これ以上のシステムはおそらく簡単に見つかると思います。
次はこの利益曲線を見てみましょう。
簿価と時価による純利益の推移が分かります。横軸に日付が描画されないので分かりにくいですが左端がトレード開始点の2000/01/04で、右端がトレード終了点(現在)の2003/09/22です。あまり下落(ドローダウン)がなくていい感じですね。
ほとんどの場合実行時の出力を見るだけで十分だと思いますが、売買履歴を見る機能も付けてあります。右の画面は履歴検索タブをクリックした後の状態です。検索したい期間を決定して検索ボタンを押せば、期間があまり長くなければすぐに売買履歴が表示されます。
銘柄リストを編集するには、銘柄リスト編集機能を使用します。左の画面は、メニューの[銘柄リスト]→[編集]を選択した後の状態です。
この画面では、銘柄リストの新規追加、登録されているリストの編集や削除が行えます。
「銘柄リスト編集」画面の[追加]ボタンを押すと「新規銘柄リスト」画面が表示されます。下の画面は、銘柄リスト名を”注目銘柄リスト”とし、東証1部の銘柄コード"2000〜2010"を、リストに追加した後の状態です。
銘柄コードを追加するには、画面左の「内容」リストに直接銘柄コードを入力するか、画面右の「コード範囲から入力」を使って行います。銘柄リストが作成できたら、画面下の[OK]ボタンを押して、「銘柄リスト編集」画面に戻ります。下の画面のように、追加した銘柄リストが、一覧に追加表示されます。
銘柄リストの編集を行う時には、「銘柄リスト編集」画面左上の銘柄リストから、編集したい銘柄リスト名を選択して、[編集]ボタンを押してください。上の画面と同様の編集画面が表示され、内容の編集が行えます。
銘柄リストを削除する時には、「銘柄リスト編集」画面左上の銘柄リストから、削除したい銘柄リスト名を選択して、[削除]ボタンを押してください。右の画面のように、確認メッセージが表示されます。本当に削除したい時は、[OK]ボタンを押してください。選択した銘柄リストが削除されます。
PtSimで選択できるシステムにあなた独自のシステムを追加することができます。後述のシステムプログラムの書き方を参考にしてください。