KONOEメッセージロギング階層

1.はじめに

複数のプロセスが協調して実行されるKONOEでは、それらのプロセスの状態を 監視することが重要になります。実行状態に応じて、それらのプロセスは様々な メッセージを発行します。コマンドに応答してのメッセージもありますが、 実行中のエラーや警告などもあるでしょう。それらの様々なメッセージが、 それぞれのプロセスに割り当てられた端末に表示されるのでは監視は大変 困難になります。そこで、そのような様々なメッセージを集中的に監視する 機構を導入します。

メッセージの集中監視機構は、様々なプロセスからのメッセージをソケットで 受け取り、表示と記録を行います。メッセージはどの計算機のどのプロセスの、 どのオブジェクトから発生したものか、それがいつ発生したのかなどの情報も あわせて表示・記録されます。これによって、単一の表示ウインドウを見るだけで システム全体で何が起こっているかを知ることができます。

2.メッセージの構成

おのおののメッセージは発生源の場所や時間情報を持っていますし、通常は 事象を表現するテキストであるメッセージ本体を持っています。このように メッセージ自身もオブジェクトと考えることができます。さらにオンライン システムのメッセージとしては深刻度や重要度といったパラメータも必要に なります。致命的なエラーはシステム自身の実行を断念するものです。 致命的ではないが、役割を全うできなかった、結果を得られなかったエラーも あります。結果は得られたが、その値に不正常なものがあり得る警告や、 すべて正常であるが報告の意味がある情報もあるでしょう。このような 深刻度は、大量のメッセージが発生する環境でそれらをソートするためには 重要なものです。通常は致命的であるほど重要であるかもしれませんが、 それとは独立に重要度を与えることも可能でしょう。

さらに、メッセージ本体を読んだだけではどう対処をすればよいかわからない 場合やユーザもいるでしょう。そういうケースに対処のための情報への リンクがあると便利です。例えば対処方法を記述したページのURLなどが 考えられます。但し、これらの情報をすべてに付け加えるのが効率的か どうかはわかりません。メッセージの識別コードを用いて、メッセージ データベースを検索することによりそれらの情報を得ることができるという 実装の方がスマートでしょう。

3.メッセージの管理

一カ所に集められたメッセージは表示・記録されます。しかし、それらを 効率的に利用するためには工夫が必要です。例えば受け取ったメッセージを 単に表示するだけでは、どんどんスクロールアウトしていってしまい、 必要なメッセージを見逃すこともあり得ます。メッセージの選択的な表示や 記録からの検索機能などが必要になります。上に述べたように、発生源や 発生時間、深刻度や重要度など、様々なメッセージの属性を元に検索する 機能が必要です。

メッセージに対する対処方法の情報へのリンクを与えるメッセージデータベースも 重要な機能です。メッセージに関連するWEBページのURLを与えたり、それが 発生したときに自動的に電子メールを担当者に送ったりする機能が組み込まれて いることも必要でしょう。

ユーザは常に表示をにらみ続けているわけではありません。重大なエラーが 発生したときに目を引く工夫も必要です。場合によっては音声で通知することも 必要でしょう。

概要へ戻る  目次へ戻る 次章「KONOEを構成するプロセス」へ


[intro/msglog.html] Last Modified : 14-Mar-2001.

KONOEコラボレーション konoe-req@konoe.kek.jp